■緒 言

  • ・近年、整形外科、整骨院・接骨院では、運動器に対し、超音波診断装置を診断技術の一つとして使用することが多くなっている。整形外科医と違い、我々柔道整復師・鍼灸師は、X線、CT、MRIで診断することができない。したがって、侵襲性、簡便性、経済性に優れた超音波診断装置は我々にとっては運動器を画像で観察できる有一つの診断装置と言える。
  • ・運動器とは、身体活動を担う、筋、骨格、神経系の総称で、骨、軟骨、筋、腱、靭帯、神経、血管から構成される。それぞれ独自の役割を果たすと同時に互いに連動、連携しながら運動器としての役割を果たしている。
  • ・さて、冒頭で述べた、多重反射とはアーチファクトのことである。アーチファクトとは、画像を観察している際、本来は存在していない虚像が画像上に描出される現象をいうとされている。種類として、多重反射、サイドローブ、鏡面現象、レンズ効果、音響陰影、音響増強、側方陰影等がある。
  • ・今回、我々は、拇趾基節骨の重複骨折で起きた特有のアーチファクトを観察したので報告する。

■使用機器

・日立メディコ社製MyLab25、リニアプローブLA523E。

■操作方法

・患肢の足底全面をベッド上表面につけ、患部にリニアプローブを垂直にあて長軸像で観察した。

■症 例

  • ・28歳男性
  • ・職業―運送業。
  • ・受傷原因―ブロックを運んでいた際、右拇趾にブロックを落とし受傷する。
  • ・臨床所見―拇趾基節骨部に腫脹、圧痛著明。歩行痛あり。

■エコー所見1

■骨折部

■アーチファクト

■考 察

  • ◆特有のアーチファクトが2種類出現していると考えられた。
  • ◆1. ①、②、③ではアーチファクトが少し斜めに出現していることである。
    これは、骨折部の骨の傾斜に対してアーチファクトが斜めに出現したと考えらる。
  • ◆2. ②と③の2重のアーチファクトが出現したことである。これは、①のアーチファクトは1ヶ所だが、①の骨折部の上には軟部組織の腫脹(血腫)が少ないと言える。しかし、②と③の骨折部の表面に軟部組織の腫脹(血腫)がある。これは、プローブからのビームと骨の間に血腫があり、血腫の存在が②と③の2重のアーチファクトを出現させたのではないかと示唆された。

■エコー画像

  • ①斜めにアーチファクトが出現している。
  • ②二重のアーチファクトが出現している。

■結 語

・今回の症例では、特有のアーチファクトが出現した。このように基節骨の短い骨で数ヶ所骨折し、腫脹が強く圧痛部が特定できないような症例や骨折線の角度や方向が確認しづらい症例では、骨や骨膜の部分だけの観察では確認が難しい。しかし、アーチファクトの出現がこのような重複骨折の場合や骨折線の角度や方向を理解する手助けになることが分かった。
また、重複骨折等により特有のアーチファクトの症例を報告できた。